I am matsushima naoko日記

松島直子のイラスト日記
<< 『レモンの図書室×すみれファンファーレ』 | main | 『ショーン・タンの世界 どこでもないどこかへ』展(@ちひろ美術館・東京) >>
新連載『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』



「一体いつまでこの状態をくり返すんだろう。」

10年前。
アルバイト先に向かう地下鉄の窓の暗闇に映る私の顔は今よりずっと老けていたと思います。
28歳でした。
「漫画家を目指している」という言葉を免罪符に、
時間が経つのをただ眺めてしまっているような、
輪郭のぼんやりした日々。
自分で決めたタイムリミットの30歳は目前だというのに、
アルバイトで稼いだお金は、燃やして、喫って、煙になった。
時間も情熱も灰にしていました。
よくある話。

そんな時に西原理恵子さんの『この世でいちばん大事な「カネ」の話』というエッセイに出会いました。

・・・たとえば、私が泳ぎ切らなくてはならない人生の川があるとして、
その川は嵐が過ぎた後のように濁っている。
でも頑張って前に進まなくては。
この川は私しか泳ぐことができないのだから。
そうやって無我夢中で泳いでいるうちに、
舞い上がっていた泥がゆっくり少しづつ沈殿して、
川面からスーッと光が射してくるのがわかる・・・

この本を読んだ時、こんな気持ちになったことを今でもはっきり覚えています。
読み終わってもカバンに入れてた。
私のお守り。
少ししょんぼりすることがあってもカバンの中にあの本が入っていると想像するだけで少し心が強くなるみたい。

「ここをレギュラー最後のアルバイト先にするつもりで頑張ろう。」

そう決めておそらく1年ぐらい経った時、
とある雑誌で新人賞を獲り、職場の仲間たちの厚意もあって、それは現実となりました。
こういった類の話もきっとよくある話でしょうか。


「西原理恵子さんの『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』
 というエッセイのエッセンスを
 松島さんのオリジナルのストーリーで漫画化したいのですが、
 一緒にやってみませんか。」

という話をいただいたのは、昨年の初夏でした。
西原さんの作品に対して今述べてきたような思い出と思い入れのある私は、
血管の中がカッ、と熱くなるように興奮しましたが、渡された本を読み、
考えて考えて・・・
私には荷が重い。
私では力不足だ。
と思い、断るつもりでいました。
でも、試しにストーリを考えネームを描いてみたら、少し手応えを感じて欲が出てきたんですね。
面白かった。
自分が一体何を描くことができるのか見てみたいと思いました。

「きっと今までで一番難しい仕事だけど挑戦してみたい。」

川面に再び光が射す感じを、今久しぶりに味わっているような気がします。


私はマッドなマンガ家(かもしれない)。
創作物は毒(かもしれない)。
薬にはなれない。
でも自分にとっての適量を取り入れてもらえれば、抗体ができるかもしれない。

邪魔したくないから。
大人に言われて、読んでみて、
もし今の自分にとって毒だと思ったら吐き出してちょうだい。
とかね。
いろんなことを思って
弱気になったり、強気になったり。
でも最近、毎日が楽しいよ。

私のするべきことをマンガでできればと思っています。

最後に西原さんの言葉をお借りします。

「女の子の生き方にはいろんな形がある。
 この漫画を読んでくれる小さな女の子の、
 自分を守る鎧の一つになれたら、すごくうれしいです。」

よかったら読んでみてください。

新連載『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』
小学館キッズパークにて、
https://sho.jp/manga/onnanoko
本日スタートです!

よろしくおねがいいたします。

松島直子
| 漫画 | 11:49 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.matsushimanaoko.com/trackback/1613928
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
LINKS
PROFILE